MMM Labが新装オープン

母乳でわが子を育てる・・ごくあたり前のはずですが、現実はそうもいきません。授乳している母親が周囲に普通にいた時代から数十年で大きく変わり、赤ちゃんを抱っこするのもわが子が初めて・・という母親も珍しくないのです。そのような状況で、母親だから母乳で育てるのが当たり前、なんていえませんよね。みんなで母親をサポートして、ある意味で”母親に育っていく”プロセスを助けていくことも必要な時代だと思います。
私は母乳の研究を通して、母親みんなに役立つ情報を提供していきたいと思い、このラボを立ち上げました。このラボはあくまでも母乳を研究することで多くのお母さま方に有用な情報を提供することが目的であり、お母さま方からお金をいただいて検査するものではありません。また、母乳を送っていただいても、すぐに結果をお返しできない研究もあります。このラボにお寄せいただいた御恩に5年先、10年先にお返しできるよう取り組んでまいりますのでよろしくお願いいたします。

自己紹介

1991年  昭和大学医学部大学院卒
1993年4月~ Harbor UCLA research fellow
1994年4月~ University of Miami, Jackson Memorial Hospital, research fellow
1995年11月~ 葛飾赤十字産院 小児科副部長
1999年4月~ 千葉県こども病院 新生児科医長
2005年1月~ University of Western Australia
2005年4月~ 昭和大学医学部小児科学講座准教授
2014年3月~ 昭和大学江東豊洲病院小児科教授
2018年4月~ 昭和大学医学部小児科学講座主任教授

2014年 NPO法人 子育て&母乳育児を支援する会 設立
2017年 一般社団法人日本母乳バンク協会設立

サイトメガロウイルス(CMV)の経母乳感染予防につなげる研究:文科省科学研究費補助金(基盤C)

お母さまがこれまでにサイトメガロウイルス(CMV)というウイルスに感染したことがあると体の中にこのウイルスは共存しています。もちろん、お母さまには何ら害を及ぼしません。ただ、出産し、1週間くらいすると母乳の中にこのウイルスが出てくるようになります。正期産の赤ちゃんは母乳からこのウイルスに感染してもほとんど症状はでず、”自然な予防接種”ともいわれるくらいです。大人になってからこのCMVに感染すると長期間に及ぶ発熱、肝機能障害などを起こすことも少なくなく、赤ちゃんのうちにかかっておくとよいとさえ考えられています。ただ、予定日より2ヵ月半以上早く(妊娠30週より前に)生まれてくる赤ちゃんには母乳からの感染であっても黄疸や肝機能障害になったり、呼吸状態が悪くなったりすることもあります。そのため、妊娠30週よりはやく出産したお母さまがこれまでにCMVにかかったことがある場合(血液検査でCMVに対する抗体=CMVIgGが陽性の場合)は、母乳に低温殺菌加熱処理をしてCMVが感染できないようにする取り組みを推奨する国もあります(フランスやオーストリア)。ただ、この低温殺菌処理は母乳の持つ優れた成分も減らしてしまうため、新生児の専門家もすべてが賛同する方法ではないのです。また、この低温殺菌処理には特別な医療機器が必要ですので、どこでもできるというわけにもまいりません。

母乳を電子レンジ500Wで40秒間処理するとサイトメガロウイルスが細胞に感染できなくなることを学会誌に報告しました(Pediatrics International 2019;61:1227-)。
★この500W40秒間の処理はフランスやオーストリアで使っている低温殺菌処理に比べて母乳成分への影響が少ないことも報告します(小児科学会 2020神戸発表予定)。

つまり、このウイルスを持っているお母さま(血液検査でCMVIgG陽性)であっても、電子レンジ処理をすることで赤ちゃんにCMVの感染を心配することなく母乳を挙げられる可能性があるのです。
ただし、これまでの研究は基礎研究であり、本当にCMVIgG陽性のお母さまの母乳を500W40秒間の電子レンジ処理をすることで赤ちゃんに感染しなくなるのかは、実際にお母さまと赤ちゃんの協力がなければわかりません。
この研究では、お母さまの母乳をこれまで通り、冷凍した後に解凍して赤ちゃんに与えるか電子レンジ500W40秒間の処理を行ってから赤ちゃんに与えるかの2通りに分けて、赤ちゃんへのCMV感染の有無を調べます。

A) コントロール群:これまで通りの冷凍解凍処理のみを行います。
B) 電子レンジ群:冷凍保存された母乳を解凍後、500wで40秒加熱処理したのちに冷蔵します。
この処理は産後7日以降、修正32週(予定日の2ヵ月前)まで行います

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母乳バンクとともにhttps://jhmba.or.jp/

日本母乳バンク協会は、その前身を2013年10月、昭和大学小児科研究室内に設立された「母乳バンク」に由来します。この小さな「母乳バンク」は、現在も、極低出生体重児に「善意のドナーミルク」を与えることで、小規模ながら確実な成果を上げてきております。

欧米社会では「常識」として広く普及している「母乳バンク」ですが、日本ではまだ「ドナーミルク」の活用が充分には進んでいません。
日本では、あまり知られてはいないことですが、WHO(世界保健機構)やユニセフでは、母乳を乳児にとっての「完全食品」として位置づけ、先進国、発展途上国を問わず、その利活用を強く推奨しています。
http://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_hospital.html

その一方で、母乳哺育、母乳育児を社会で推進するためには、低出生体重児の栄養戦略や十分量の「母乳」が出ないおかあさんのために、「ドナーミルク」を確保する「母乳バンク」は必要不可欠な存在となります。「母乳バンク」は、自分の子供どもが必要とする以上に母乳がたくさん出るお母さんから、余った母乳を「寄付」していただき、その「ドナーミルク」を適切に検査、保管・管理を行い、タイミングよく「母乳」を必要とする乳児に医療的な見地から「ドナーミルク」を適切に提供する仕組みです。

日本は産婦人科、小児科に携わる医療スタッフの意識、努力のレベルが、先進各国と比較しても高いのは事実で、その成果も世界各国に比べても引けを取りません。このために「母乳」や「ドナーミルク」を使わなくても、低出生体重児の死亡率や障害を持つ割合も低いとの意見もあります。

しかしながら、医療の進歩をもってしても致命的な疾患である壊死性腸炎など、「ドナーミルク」の活用で予防が高く期待される疾病も存在し、欧米で実績のある「母乳バンク」活動の日本における普及は、大変に意味のあることだと考えております。

小児科医の立場からすると、社会には子供たちを「すくすく」と育てる責任があると思います。このために「母乳バンク」活動が一助になればと切に願うものです。

ナーミルクを使用施設は増えている

昭和大学病院・昭和大学江東豊洲病院・昭和大学横浜市北部病院・埼玉医大総合医療センター・東京都立小児総合医療センター・東京都立墨東病院・国立成育医療研究センター・千葉大学医学部附属病院・聖マリアンナ医科大学付属病院・静岡県立こども病院・長野県立こども病院・聖隷浜松病院・名古屋大学付属病院・藤田医科大学付属病院・神戸大学医学部附属病院・奈良県立医科大学付属病院・北野病院・沖縄県立中部病院・沖縄県立宮古病院

ビタミンDから乳腺炎まで

2020年9月から研究スタート

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Microwave treatment of breast milk for prevention of cytomegalovirus infection. Mikawa T, Mizuno K, et al.
Low HCMV DNA copies can establish infection and result in significant symptoms in extremely preterm infants. Wakabayashi H, Mizuno K, et al.

日本橋は五街道の起点。今大きな変革を遂げつつある町で第2の母乳バンクが産声を上げます。豊洲の規模の4-5倍の処理能力を持ち、全国のNICUに提供できるようになります。

日本橋母乳バンク

当初は2020年6月オープンの予定でしたが、工事の遅れもあり9月ごろになりそうですが、改めてこのウェブでも進捗状況を報告いたします。

お母様方へ研究参加のお願い

母乳育児にういて、科学的なデータを積み重ねていくことで、母乳育児に関する問題が解決され、楽しい子育てにつながります

母乳研究室概要

母乳の研究を通して子育て中のお母さま方の力になりたい・・そう思って立ち上げました。NICUに赤ちゃんが入院したお母さま、新型コロナウイルスに感染したお母さま、乳腺炎になったことで母乳育児が怖くなったお母さま・・・子育てのなかで遭遇するいろいろな状況のなかでもわが子に母乳を与えたい・・その気持ちに答えて安心して子育てできますように・・・母乳が持ついろいろな力を解明するために共同研究もはじまっています。

研究参加のお願い 

新型コロナウイルス罹患と母乳研究

新型コロナウイルスに罹られてお母さま自身もご心配のことと思います。そのような状況で、母乳を赤ちゃんに与えてよいものかお悩みの方も少なくありません。これまで、コロナウイルスは母乳に移行しないため、母乳をあげることで赤ちゃん …

母乳バンクのドナー登録を検討いただいているお母さま方へお願い

日本母乳バンク協会のドナー登録を検討いただきありがとうございます。お母さまの大切な母乳を小さな赤ちゃんのために使わせていただきます。 登録に際して、重要なお願いがございますビタミンDは”骨を作るビタミン&#8 …